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SBI (TSE 8473) ホールディングス-裸の投資家

潮が引いて初めて誰が裸で泳いでいたのかが分かる – ウォーレン・バフェット


要約

証券コード:東証一部8473

株価:2,610円

目標株価:1,300円

予想下落幅:50パーセント


独裁者北尾吉孝氏に率いられて、多額な借り入れを利用して、仮想通貨やフロンティア市場へ無謀に多額な投資をしつづけるSBIホールディングをご紹介します。かつてソフトバンクグループの子会社ではあったが、2006年に完全に独立した。近い将来に、同社は仮想通貨市場やベンチャー企業投資が行き詰まり、大きな含み損を抱えていると我々は予想する。


1) 同社の投資ポーテフォリオは、50-60パーセント以上の含み損を抱えていて、ベンチャー企業は増資が必要になるので、もうこれ以上隠蔽することができなくなる。


2)仮想通貨市場の崩壊で、SBI社は多額な損失を被るでしょう。同社子会社のB2C2社への貸付及び投資や当社が出資するリップル社の評価損が膨らんでいる。仮想通貨取引所のBinance社長の趙長鵬氏の言うように、大手会計事務所は仮想通貨の財務内容を理解できていない。B2C2のバランスシート上にある6億ドルに及ぶ仮想通貨や貸付金の価値は大きく値減りしているはず。


3) SBI社のコア事業の収益は急激に悪化し始めている。同社韓国子会社のSBI Savings Bankから始まる


4) 同社はの多額な借金を使った過激的な投資手法は、日銀の金融政策変更で行き詰まる。資金調達で株価が大きく下落する。


SBIホールディングスの生い立ち


同社は、証券取引、銀行、保険など多岐にわたる業務に携わっているコングロマリットだ。創業者の北尾吉孝氏は、かつて、ソフトバンクグループ(証券コード9984)の孫正義氏の下で最高財務責任者を務めた。SBIは、バイオテックへの投資が失敗した後、仮想通貨やフィンテックへの投資へ主軸を移してきた。


SBI社の投資ポートフォリオは、50パーセント以上の含み損を抱えていると我々は推定。同社は、非上場株式として過大評価してきたが、仮想通貨市場が崩壊している今、投資家から隠すことは不可能だろう。


「りんごの実は、幹から遠くないところに落ちる」という諺のように、SBI社の問題の深刻度を理解するために、同社の生い立ちを理解することが需要だ。


同社の総帥である北尾吉孝氏は、ネットバブルの時に、ソフトバンクの最高財務責任者として、毎週のように新規ビジネスを立ち上げる説明会を開き、ソフトバンクの株価を釣り上げた。バブル崩壊後、そのトリックを見透かした投資家からの売り圧力によって、ソフトバンクグループの株価大きく下落した。


2006年に、株価が99パーセント下落したソフトバンクが赤字で苦しむ中、孫正義氏は、SBIホールディングスの株を手放した。


表1:左は孫正義氏と北尾吉孝氏;右は1999-2000年ネットバブル期のソフトバンク社の株価


過去数年、アグレッシブな投資と新生銀行の連結を通じて、SBIホールディング社の資産は4倍以上跳ね上がった。


さて、なぜSBI社のように、資産評価が高かった2020-2021年の間に、仮想通貨やフィンテックを中心に投資してきた会社が、同業他社のように株式市場の大きな下落による影響を受けていないのかが疑問だ。


参考までに、世界最大手と言われているタイガーグローバル社は[1]、同じ期間において50パーセントもの損失を出している。SBI社、テックセクター全体のバリュエーション下落を完全に免れたとは信じがたい。


我々の調査によると、同社のポートフォリオは、市場価値から少なくとも50パーセント以上かけ離れている。


資産評価価値は上がり続いている


ほとんどの投資会社は、ディスカントキャッシューフロー並びに同業他社の売上・利益に基づく倍率を駆使して、所有している非上場株の価値を定期的に再評価している。あのソフトバンクグループでさえ、直近の決算発表では、非上場株のバリュエーションを大きく下げている。


信じがたいのは、SBI社は過去数年間一度も非上場株のバリュエーションを下げていない。投資先が増資や倒産や株式公開をしない限り、資産評価をひたすら引き上げている。しかし上場株式ポートフォリオから逆に損失を出している。我々の調査によると、同社のポートフォリオの中に、リップルのように上場できない会社も多く、ほぼ全損になっているようなスリランカやベトナムへの投資も、高いバリュエーションのままに放置されている。


表3:過去六四半期におけるSBI社の上場株及び非上場株の株式評価による同社への業績寄与。テック株の大きな下落にも関わらず、非上場株式は一度もマークダウンされているない


SBI社の投資先は、非常にリスクが高い仮想通貨やフロンティア市場の会社が非常に多い。例としては、米国SECに訴えられているリップル社(FTX社は倒産、Binance社も多額な資金流出に悩まされている)、スリランカ(国が倒産)など、大きな含み損を抱えているとしか思えない。


SBI社の投資先のB2C2社は、2021年3月の開示資料において、6億ドル以上の仮想通貨コインと仮想通貨企業への貸付を抱えている。その一部をSBIグループからの借り入れで賄っている。過去六四半期の評価益1,300億円は少なくとも消滅するだろう。リップル社やB2C2社やフロンティア市場への投資を減損すれば、さらに8億ドルもしくは1000億円の損失となる。


合わせば、同社にとって、ベンチャー投資と仮想通貨企業への投資総額の8,600億円のうち、少なくとも2,300億円の含み損を抱えることになり、同社の時価総額の32パーセントに相当する。


SBI社の58パーセントのベンチャー投資は、バリュエーションが高かった2020-2021年に再評価されたか実施された。2022年は、金利は大きく上昇、企業業績も悪化した。ほぼすべてのベンチャー投資ファンドは投資を控えている[2]。過去の投資を減損し始めた。


リップルと仮想通貨


SBI社の仮想通貨投資ポートフォリオを見ていくと、とても正当化できる水準ではないことに、投資家は気が付くだろう。SBI社が所有している資産の多くは、仮想通貨市場の崩壊とともに、大きく価値を落としている。リップル社はその一例である。SBI社は自社勘定とファンド投資を通じて、その10パーセントを所有している。


SBI社は、リップル社を100億ドルで評価しているが、自社勘定で投資している5パーセントの持ち分を700億円で評価している計算だ[3]。FTXが倒産する前に、リップルはすでに30億ドル以下の水準で、市場で取引されている[4]。FTXが倒産してから、仮想通貨業務に田津触っている企業のすべてが大きく下落した。リップル社は、すでに米国SECから提訴されており、FTX社の崩壊後、一層厳しい規制が予想されよう。その環境において、リップル社は上場できる見込みが立たないので、100億ドルの評価を維持できると思えない。


我々は、リップルを20-30億ドルで評価すれば、SBI社のバリュエーションに対して、70-80パーセントのダウンサイドが想定される。過去の経験から、SBI社は、自主的にリップル社への投資を減損するとは想定されにくい。


B2C2社-仮想通貨のブラックホール


SBI社は、財務的な投資以外では、四つの子会社を通じて仮想通貨業務を行っている(SBI VCトレード社、B2C2社、BitPoint社、仮想通貨マイニング)。5月にLUNAが暴落したとき、B2C2社とマイニングビジネスは100億円の損失を出した。FTXの倒産で影響を受けた企業リストに、B2C2が再び登場した[5]。直近では、B2C2はGenesisの救済にも名乗りを上げているようだ。


SBI社の仮想通貨ビジネスは500億円の売上しかないので、リストも限定的だと考えている投資家は多数いるようだ。しかし、B2C2社の2021年3月期の開示資料によれば、同社は、わずか3,300万ドルの自己資本で、4.3億ドルの仮想通貨コインと2. 2億ドルの貸出業務を行っている。SBI社がB2C2社を全額買収する2020年までは、同社が所有する仮想通貨コインはわずか300万ドルでした。1年間で100倍以上伸びた計算だ。資本倍率で19.7倍と、通常の銀行業務でも高すぎるが、仮想通貨のようなボラが高い資産に対して、ほとんどギャンブルのような水準だ。


このような高いリスクの貸し出しには、他の金融機関は消極的なので、SBIグループがB2C2に対してバランスシートを提供して、最大の貸し手となったようだ。2021年3月以降の開示はないが、SBI社の仮想通貨への投資ペースを考えると、さらに大きなエクスポージャーとなっていると推測される。開示資料の注意書きによると、2021年3月時点において、SBI社は、すでに3,400万ドルを貸している。SBIグループによる杜撰な貸し出しの前例としては、2021年のソーシャルレンディング(SBISL社)スキャンダルは、いまだに記憶に残るでしょう。


FTX社の倒産後、多くの仮想通貨取引所と業者は、自主的に、Proof of ReserveレポートやCold Walletのアドレスと所有しているコインの内容を公開している。我々は、B2C2にも同様の開示を求めてみたが、拒否された。危険信号と解釈できよう。


SBI社は、上期において、仮想通貨事業で130億円の損失を出している(うちB2C2は40億円の損失)。通期では、さらに大きな損失を想定される。かつてのSBI社がバイオテックへ多額な投資を積み込んで、2017年に大きな減損を出して、事業縮小を余儀なくされたことは、多くの投資家にとって未だに記憶に新しいでしょう。仮想通貨の終焉も同じ道をたどることになると我々は推察できる。



フロンティア市場における損失も拡大


SBIが運営するSBI Ven Capitalは、スリランカやベトナムのようなフロンティア市場に対して5. 5億ドルを投資している。北尾総帥は、彼に近いスリランカ人のShiran Diasからの投資アドバイスをうけ、かつてはスリランカ国債に、今は現地の証券会社や銀行へ投資している。ご周知の通り、スリランカは年初から国家財政が破綻していて、通貨のルピーが8割以上下落している。ベトナムは、不動産ローンの危機で、子会社のTPバンクの株価は5割近く下落している。ベトナムやインドネシアにおける投資の評価損をも勘案すれば、3.5億ドルの評価損になると、我々は推測している。



表4:SBI社の投資先一覧表


BitPoint社スキャンダル


2022年11月30日付の文春によると、SBI社が51パーセント出資するBitPoint社の小田玄記会長(東証二部上場リミックスポイント社長)が台湾地方裁判所から指名手配されていた(指名手配書が以下の通り)。



BP台湾が2019年7月の不正流出事件に関連して、過去のBP台湾とBP

ジャパンとの会計データを調査したところ、BP台湾からジャパンに対して、41.2億円を送金したにもかかわらず、両者間の精算表には35.9億円しか反映されず、5. 3億円の資金が行方不明となっている。直近のFTX社の倒産にもみられるように、仮想通貨関連業者では、このような杜撰な会計が行われていて、かつて多くの仮想通貨企業の監査に携わってきたMazarsやBTOのような大手会計事務所が次から次へと辞任している。スキャンダルを抱えている買収するSBI社の会計数値の信ぴょう性を疑わざるをえない。SBI社の監査人であるデロイトトーマツ社は、数多くの仮想通貨業者を抱える同社の財務内容を正当に監査できる能力を持っているとは思えない。


さらに、2022年3月期の有価証券報告書によれば、SBIホールディングから監査人のデロイト・トーマツ社に対して支払われ報酬が、前期の9億円から18億円へと大きく跳ね上がっている。新生銀行の連結があるとはいえ、わずか12か月で報酬が倍増した監査人の独立性も疑問視されると言わざるを得ない。


SBI Savings Bank (旧現代スイス貯蓄銀行)の収益も急速に悪化


北尾総帥の下で、SBI社は、過去にも同じような粉飾紛いな決算手法で倒産寸前の投資先を過大評価していたと、オリンパスの粉飾決算をレポートした著名な経済情報誌FACTAが暴露した。


2012年10月付のFACTA誌[7]によると、SBI社が20.9パーセント保有する現代スイス銀行(非上場企業)は、負債超過に瀕して、当時韓国金融当局から調査を受けていたにもかかわらず、SBIは11年3月期で14億円、12年3月期で73億円もの評価益を計上した。SBI社の資料にもあるように、当時の現代スイス貯蓄銀行の延滞率は51.6パーセントにも上り、実質倒産状態にあった。


SBI社は、粉飾決算を貫き通すために、FACTA社の記事が発表されたわずか4か月後に、2億ドルの増資で、現代スイス貯蓄銀行を完全子会社化した。その後も、過去とのつながりを消すために、社名をSBI Savings Bankと変えた。


直近のSBIの資料では、SBI Savings Bankは、同社の投資先で大きくターンアラウンドした事例として紹介されていますが、そのパフォーマンスは持続可能でしょうか。現代スイス貯蓄銀行の回復を可能にしたのは、SBI社のマネジメント能力よりも、2012年以来の世界各国で行われたゼロ金利政策やQEなどの大幅金融緩和のおかげだと我々は推測する。支払い延滞率は51.6パーセントから直近の1.38パーセントへ下がったため、過去の不良債権が大きく改善した。



しかし、ご察知の通り、韓国の貯蓄銀行は、商業銀行と比べると業務リスクが非常に高い。市場より高い預金率で資金調達をしているため、よりリスクの高いサブプライムの客向けに、消費者金融ローン、プロジェクトファイナンス、不動産担保ローンを提供している。同社の資料にあるような13.41パーセントのような金利を稼いでいる。


加えて、同社のローン残高もわずか4年間のうちに、4兆ウォンから13兆ウォンへと急拡大している。急成長する銀行は、必ず引き受け条件を緩和しているに違いない。


では、なぜ支払い延滞率は、緩やかに上昇しているのに留まっているのか。韓国政府は、選挙対策で低所得者向けに補助金をだしているからだ。しかし、この補助金も2023年で切れるので、与信コストはこれから上昇してくる。


すでに、韓国の不動産価格は、過去20年間でもっとも大きな下落率を記録した[8]。これから、SBI Savings Bankの不良債権も大幅に増加してくると推察される。同社の客層は、信用スコアが低いので、他行よりも早く、大きな不良債権が発生すると、我々は予想する。


SBI Savings Bankは、プロジェクトファイナンス(PFローン)にも手を染めている。リターンが高く見えるが、リスクも大きい。


2022年9月29日に、韓国Gangwon州地方政府の投資会社で韓国のレゴランドをファイナンスしているGangwon Jungdo Development Corp(GJC)が2,050億ウォンのローンを不履行すると発表した[9]のきっかけに、91日満期のアセットバックコマーシャルペーパ(ABCP)の金利は、4. 58パーセントへと大きく上昇した。GJCのような短期ローンで長期の不動産プロジェクトに投資するプロジェクトファイナンス会社は多数あり、多くは保険会社、証券会社及び貯蓄銀行から資金を調達している。


このような信用不安は、SBI Savings Bankのような貯蓄銀行にいろんな形大きなマイナス影響を及ぼす。まず、同社が保有するPFローンの市場価値は大きく下がる。従来の金利が低いので、金利の1パーセント上昇にも大幅に反応する。韓国銀行セクターの預金金利は大きく上昇している[10]。SBI Savings Bankにとって、貸出金利にはキャップがあるので、預金金利の上昇が利ザヤを下げると我々は推測している。


市場では、あまり認知されていないが、SBI Savings Bankは、340億円の利益(全社の25パーセント)をSBIホールディングスに貢献している。我々は、2023年において、SBI Savings Bankは290億円の赤字となると予想している。


つまり、わずか一年間で、SBI社の当期利益を600億円下げることになろう。


なぜこんなに大きな影響になるのか、SBI Savings Bankは、収益の5割をローンの売却益で稼いでいる。金利が安定もしくは下がっているときは、売却益を出しやすいが、今のような金利の先高感が強く、市場が凍結しているときは、ローンの売却益は出ない。


米国や欧州において、多くのBNPL(Buy Now Pay Later)企業が苦戦している[11]のと同じく、韓国においても大きなリスクをはらんでいる。同じくして、金利の急上昇により、SBI Savings Bankの信用コストは2017と同じような水準に上がると我々が予想しており、250億円の利益から290億円の損失に悪化すると我々は見ている。



業績の急速な悪化と先行き不透明感は、SBI社が繰り返し話してきたにも関わらず、未だにSBI Savings Bankを株式公開できない一因だと関係者が明かしている。


SBIホールディングスの転換社債を低い価格でリファイナンスする必要がある


SBI社は合計6,440億円の社債を発行している。そのうち、二本のゼロクーポンの転換社債がそれぞれ2023年と2025年に満期を迎える。同社の株価は転換価格を大きく下回っているので、社債は転換せずに、リファイナンスが必要となろう。


日銀の大幅金融緩和のおかげで、同社の社債の平均コストはわずか0.72パーセントだが、直近発行された社債の金利は、YCCが’修正される前から、すでに1パーセント以上へと上昇している。2023年3月に黒田総裁が退任したのち、マイナス金利の解除が予想され、SBI社の資本調達コストも大きく上昇すると予想される。


日銀による政策変更が予想される中、高い借入比率と投資ポートフォリオの隠れた損失が膨らむ同社は、2023年の初めにも、同年9月に満期を迎える500億円の転換社債をリファイナンスをすると、我々は予想する。参考として、2022年11月2日に、400億円の転換社債をリファイナンスしたサイバーエージェント社の株価は、二日で10パーセント以上下落した。




SBIホールディングスのバリュエーション


SBI社が、投資ポートフォリオの5割を減損するシナリオにおいて、SBI社は1,000億円以上の増資が必要と我々は推測している。同社は、2022年3月にSBI住信銀行の株式公開を通じて、資金調達をしようとしたが、冷たい市場反応により、余儀なく断念した。その後、SMFGから、800億円の資金を調達したが、仮想通貨市場の崩壊とテック株の暴落により、投資ポートフォリオが急速な悪化し、追加的な資本調達が必要となろう。


SBI証券やSBI住信銀行からの当期利益寄与は350億円に対して、10倍のPERを適用すれば、3,500億円の評価となり、同社の新生銀行の持ち分を時価で評価したとしても、一株当たり、1,300円の価値となる。現在の株価から、5割以上のダウンサイドとなる。


表6:SBIホールディングスのセグメント利益予想






表7:新生銀行買収前と買収後のレバレッジレシオ










[3] SBI社のIR部に確認済み

[9] Reuters South Korea's Legoland default points to wider bond market stress | Reuters [10] Sangsangin Saving Bank is paying 6.1per cent for one year deposit in Nov [11] Reference AFRM US or UPST US where share prices have all gone down ~90per cent YTD

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